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自動火災報知器の誤作動原因と防ぐためのチェック項目

介護施設では、火災時に入所者の命を守るために、自動火災報知設備(いわゆる火災感知器)が設置されています。

 

しかし、誤作動による警報が頻発すると、職員や入所者が警報に慣れてしまい、いざというときに対応が遅れる危険性もあります。

 

この記事では、介護福祉施設で実際に多い自動火災報知器の誤作動の原因と、日頃からできる対策や点検のポイントをまとめました。


自動火災報知設備は、火災を早期に発見して周囲に知らせるための設備です。

 

主に以下の部品で構成されており、感知器が火災(煙・熱)を検知すると、自動的に受信機へ信号が送られ、警報を鳴らします。

  • 煙感知器・熱感知器
  • 受信機
  • 発信機(手動でも発報可能)
  • 非常ベル・表示灯
  • 火災通報装置(消防署への自動通報機能)

施設内に設置されている感知器は、目に見えにくい天井付近や部屋の奥まった場所にもあるため、点検や清掃が行き届きにくいこともトラブルの要因となります。


よくある誤作動の原因とは?

介護施設で実際に多い誤作動の原因を、以下にまとめました。

 

1. 煙感知器へのホコリ・虫の侵入

  • 長期間清掃されていない感知器にホコリが付着したり、虫が内部に入り込むことで誤作動を起こします。

2. 湿気・蒸気・油煙の誤検知

  • トイレ・浴室・洗濯室・厨房など、水蒸気や熱気が立ち込める環境では誤検知が頻発します。
  • 熱感知器・煙感知器のタイプ選定ミスも要因の一つです。

3. 室温の急激な変化

  • 冬季のエアコン暖房の立ち上げや、夏季の急冷などで熱感知器が反応することがあります。

4. 機器の老朽化・不具合

  • 設置から10年以上経過した設備は誤作動の発生リスクが高くなるため、交換の検討が必要です。

誤作動を防ぐためのチェックリスト

自動火災報知器の誤作動を防ぐには、日常的に以下のポイントを意識しておくことが大切です。

 

✅ 感知器の周囲を定期的に清掃しているか

 

✅ 湿気・煙が多い部屋に適切な種類の感知器を使っているか

 

✅ 設置から10年以上経過した感知器があるか

 

✅ 異常を記録・報告し、施設内で共有しているか

 

✅ 点検後の報告書に「誤作動の傾向」が書かれていないか確認する


設置場所ごとの注意ポイント

以下は、介護施設内で特に誤作動が発生しやすい場所と、その対策例です。

場所 起こりやすい原因 対策
浴室・洗面所 湿気 感知器を「防水タイプ」または「熱感知器」に変更検討
厨房 湯気・油煙 感知器の種類見直し、フード下は設置を避ける
トイレ 流れる蒸気 換気扇の稼働・感知器周辺の清掃徹底
エアコンの吹き出し口付近 温度変化 感知器の位置をずらす、エアコンの風向きを調整

誤作動の対応と記録のすすめ

誤作動が起きた際は、「なぜ鳴ったか?」を記録・分析する習慣がとても重要です。

 

職員が「いつ・どこで・何が原因か」を把握しないまま復旧してしまうと、同じ場所で何度も誤作動が起きる悪循環に陥ることがあります。

 

記録例:

  • 発報日時/感知器の場所
  • 発報時の室温・湿度・周辺環境
  • 誤作動と思われる原因(例:加湿器を使用していた)

このようなデータを蓄積していくことで、点検業者との情報共有や感知器の設置変更の判断にも役立ちます。


点検だけでなく「現場の視点」も大切に

自動火災報知設備の点検は、年2回の法定点検として業者が実施しますが、

誤作動の多くは、点検時には正常でも日常使用の中で起きることがほとんどです。

  • 「最近、同じ部屋で何度も鳴っている」
  • 「夜中に突然ベルが鳴ることがある」
  • 「掃除後に鳴ることが多い」

こういった“日常の違和感”こそが、誤作動のサインです。

現場で働く職員が「おかしい」と思ったら、記録し、次回点検時に業者へ共有することで、根本的な対策につながります。


まとめ|“鳴らなかったら怖い、鳴りすぎても困る”

自動火災報知器は、介護施設にとって「命を守るための警告装置」でありながら、誤作動が続くと“信頼されなくなる”という逆の問題も抱えています。

 

だからこそ、点検だけで終わらせず、誤作動を予防・記録・改善していく“運用体制”をつくることが重要です。

 

「感知器が鳴った」その瞬間に、「また誤作動かな」と思わせない環境づくり。

それが、本当に人の命を守る設備のあり方です。

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